リードナーチャリングとは、マーケティング施策のひとつで、顧客育成を意味します。BtoB企業の商品やサービスは高額なこともあり、認知から購入決定まで数ヶ月から数年単位の時間が必要になります。その間自社の商品の魅力やメリットを伝え、顧客の購買意欲を高めるのがリードナーチャリングという手法です。

この記事では、リードナーチャリングでも有効とされるコンテンツの種類とその導入方法を解説しています。リードナーチャリングのコンテンツは、複数組み合わせることで、より良い効果が見込めるでしょう。コンテンツが充実しているBtoB製造業も紹介していますので、ぜひこの記事を参考にリードナーチャリングの導入をご検討ください。


リードナーチャリングとは顧客育成のこと

リードナーチャリングとは、獲得した見込み客の購買意欲を高め、商談や受注につなげるためのマーケティング施策です。リードとは見込み客、ナーチャリングとは育成の意味があります。

さまざまな手法で顧客を集めた後、商品導入への検討度を上げてもらうには購買意欲を高める必要があります。とくに単価の高いBtoB商品では、興味を持ってもらってもすぐに導入には至りません。時間をかけてニーズを把握し、適切なアプローチを行うことで、検討度の高い顧客を獲得できます。

リードの対象は新規の顧客だけではなく、以前取引のあった相手や商談まで進めなかった顧客も含まれます。商品をすぐにでも購入したい人や検討を始めたばかりの人など、顧客の検討度合いはさまざま。検討度合いの異なる顧客に対し、手法を変えてアプローチできるのがリードナーチャリングのメリットといえます。

リードナーチャリングを経て受注確度が高まった案件は営業部門へと引き継ぎ、顧客の選別へ移ります(リードクオリフィケーション)。

今、リードナーチャリングが求められる5つの理由

リードナーチャリングは、商品を販売するために重要な施策です。BtoB企業においてはとくに力を入れるべき施策となっています。この章では、なぜ今、リードナーチャリングが求められているのかを解説します。

1. 顧客自ら情報を集める時代のため

現在は誰もがインターネットを使って情報収集できる時代です。インターネットが普及する以前は、取引先から説明を受け、商談後にすぐ発注する取引が主流でした。しかし、顧客も待っているだけでなく、自ら情報収集する時代になってきています。とくに単価の高い製品の購買には時間をかけ、慎重に検討したい顧客が大多数でしょう。購入や導入に至るまで、顧客は自ら情報収集を行い、より良いサービスがないか調査します。顧客に一度アプローチしただけでは、他社に流れていく可能性もあるのです。

顧客に自社と契約してもらうためには、積極的に顧客とつながりを作ったり、思い出したりしてもらう必要があります。顧客が情報を集める傍ら、購買意欲が高まるタイミングに合わせて適切な情報を提供することが大切です。

2. 「今すぐ顧客」以外に対応するため

BtoBマーケティングでは単価が高いこともあり、今すぐに商品を購入してくれる顧客は少ないものです。問い合わせから導入を決定するまで数年かかるケースも存在します。すぐに成約しない顧客を後回しにした結果、失注することも少なくありません。

イベントや広告で獲得したばかりの検討度合いの低い顧客は、すぐに購入には至りません。商品の良さを知ったり信頼を高めたりすることで、商品に対する興味や関心が高まり、購入意欲につながるのです。購入予定がまだない顧客には、リードナーチャリングでフォローを続けると、購入確度が高まります。いざ製品やサービスを導入する検討段階に入った時点でアプローチができるよう、定期的に接触する必要があります。

3. 休眠顧客に対応するため

リードナーチャリングでは、新しい顧客を獲得するだけでなく、過去に反応のあった休眠顧客とつながり続けることで受注に結びつく場合もあります。休眠顧客とは、見込み顧客となったときには商談につながらなかったり、過去に取引があったものの現在は取引していなかったりする顧客のことです。

長年集客に力を入れている企業では、休眠顧客のリストが豊富にあるのではないでしょうか。リードナーチャリングでは、この購買意欲の低い顧客を再度見込み顧客に育成できる可能性があります。リードナーチャリングのコンテンツがあれば、休眠顧客のニーズの把握が可能です。過去のアプローチによって製品に対する興味や理解のある顧客に、的確にアプローチすると、確度の低い集客を行うよりも、成約につながりやすくなります。

4. 顧客へのアプローチ方法が多様化しているため

現代では、インターネットや通信回線、各種デバイスの普及により見込み顧客を獲得する手段が多様化しています。集客により獲得した見込み顧客は、少し興味があるだけの層やすぐにでも製品を導入したい層などさまざまな検討段階に分けられます。どの顧客にも同じようなアプローチを行っていては、「少し興味があっただけなのに、ぐいぐい売り込まれた」「すぐにでも導入したかったのに、必要のない情報ばかりを押しつけられた」など、顧客の不満が溜まっていくでしょう。

それぞれの検討段階に合わせて適切なアプローチを行うことが大切です。自社のリードがどのようなニーズを持っているのか、段階的に調べ、積極的に複数のリードナーチャリングコンテンツを導入する必要があります。

5. 顧客の長期フォローが仕組み化できるため

単価の高いBtoB商品では、担当者の一存で導入が決められることはまれです。見込み顧客は導入に至るまで社内審議にかけたり、他社との比較を行ったりと、慎重に検討します。購入決定までのプロセスが長期化しているため、長期にわたって顧客をフォローし続ける必要があります。

リードナーチャリングを仕組み化したコンテンツを用意しておけば、少ない労力で継続的に見込み顧客のフォローが可能です。とくにマーケティングオートメーションツール(MAツール)を使えば、ニーズが顕在化したタイミングで再度アプローチを行えます。その結果、受注に結びつけられるでしょう。リードナーチャリングコンテンツがあれば、定期的な情報提供やコミュニケーションが行え、限られた総数の中でも、効率的に見込み顧客との接点を持ち続けられるのです。

※マーケティングオートメーションツールとは、顧客の情報を一元化し、各プロセスにおけるマーケティング施策を自動化したもの。顧客の行動履歴などからニーズを分析し、検討度合いの高い顧客にのみ、適切なアプローチを行えるツール。

リードナーチャリングコンテンツにおける10の手法

リードナーチャリングに使われる手法は主に以下の10個のコンテンツに分類されます。

  1. メールマーケティング
  2. オウンドメディア
  3. イベント・セミナー
  4. SNS
  5. ホワイトペーパー
  6. リターゲティング広告
  7. チャットボット
  8. 診断ツール・チェックリスト
  9. インサイドセールス
  10. 紙のダイレクトメール

複数のコンテンツを組み合わせると、より効果的なマーケティングが可能になるでしょう。この章では、それぞれの手法を詳しく解説しています。

1. メールマーケティング

リードナーチャリングにおけるメールマーケティングは、主にメールマガジンとステップメールに分けられます。

メールマガジン

メールマガジンは見込み顧客リストに定期的に一斉にメールを送る手法です。新商品や自社のニュースなど、顧客に知ってもらいたい情報を配信します。ただし、同じ商品の紹介が続いたり、1日に複数回メールを配信したりしていると、煩わしさからメールマガジンの登録を解除されることもあります。興味を引けるような内容と配信の頻度に気を配りましょう。

自社ニュースがなくても、定期的に業界のニュースを配信するのもおすすめです。顧客と接点を作り続けられるうえ、自社が業界に精通していることがわかるため、信頼感の向上にもつながります。

ステップメール

ステップメールとは見込み顧客に対し、段階的にメールを配信する手法です。顧客リスト全員に一斉に送るメールマガジンとは異なり、ステップメールは特定の見込み顧客だけに興味を持っているであろう情報を送ります。たとえば、商品紹介メールを送った後に導入方法や導入事例のメールを送るなど、段階的に商品の魅力を伝えても良いでしょう。顧客の行動基準にメールを送るため、より顧客のニーズに沿った情報を提供できます。

2. オウンドメディア

オウンドメディアとは、企業が運営するブログのようなものです。今ご覧になっている「ミニマリストの片付け」も株式会社トレファクテクノロジーズが運営するオウンドメディアです。企業はオウンドメディアを運営することで、認知度の向上や自社のファンの獲得を目標にしています。

オウンドメディアでは、自社の情報をどこよりも早く正確に発信でき、商品の導入事例や導入先の企業インタビューも掲載できます。実際に商品を使った人からの意見は、企業が商品を説明するよりも説得力があり、顧客への信頼を与えやすくなります。

また、オウンドメディアにSEO対策を施すことで、自社を知らなかった人にも商品を知ってもらうきっかけになります。オウンドメディアは、リードナーチャリングだけでなく、集客にも効果を発揮するのです。

3. イベント・セミナー

イベントやセミナーを開催し、自社商品を紹介すると、顧客の育成も図れます。新商品の発表イベントだけでなく、ノウハウを提供するセミナーを開き、自社商品を導入した事例を紹介しても良いでしょう。顔を合わせたイベントでは、顧客の反応を直接確認できるため、商品の改善点も見えてきます。

Webセミナーは参加しやすく、より多くの人に知ってもらえる機会となるでしょう。共催型のセミナーや展示会へ出展しても、これまで自社を知らなかった人に興味や関心を持ってもらうきっかけになります。イベント当日の様子を動画やレポート記事にまとめ、メルマガやメディアで配信しても良いでしょう。実際に参加できなかった人にもアプローチが可能になります。

4. SNS

SNSの活用も認知度の向上やブランディングには有効です。日常的に魅力的な発信をしている企業だと検討段階でも、思い出してもらいやすいもの。情報の拡散も簡単にできるため、潜在顧客にも認知してもらえる可能性が高まります。近年はSNSから情報収集する人も増えているため、XやFacebook、LinkedInなどターゲット層が多いSNSを選んで発信すると良いでしょう。

インフルエンサーと提携して認知を拡大させても、潜在顧客へアプローチできます。近年ではYouTubeでの動画配信を行う企業も増えており、SNSで共有すると、認知の拡大も見込めます。ただし、SNSの発信は継続が難しいうえ、悪評も拡散されやすいもの。投稿は内容を複数人でチェックしてから行うと良いでしょう。

5. ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは市場調査の結果や商品サービスの使い方、詳しい解説などをまとめた報告書のことです。見込み顧客は企業や個人の情報を入力すれば、ホームページからホワイトペーパーをダウンロードできます。

ホワイトペーパーをホームページに設置しておけば、顧客の育成と同時に顧客情報が入手可能です。ダウンロードされたホワイトペーパーの種類によって、顧客が何を求めているのかが把握できるため、今後の施策も考えやすくなります。

ホワイトペーパーは、顧客が社内稟議に使う資料にも活用できるため、必要とされる情報が過不足なく記載されたものを用意しましょう。

ホワイトペーパーについて、詳しくはこちらをご覧ください。

6. リターゲティング広告

リードナーチャリングのコンテンツとして、リターゲティング広告も有効です。リターゲティング広告とは一度ホームページに来訪した見込み顧客に対してのみ、特定の広告を配信する方法です。

別のサイトを見ていても、過去に見た企業の広告が表示される、これがリターゲティング広告です。自社の商品に興味を持ってくれた顧客に対し繰り返しアプローチできるため、通常の広告を配信するのよりも、成約率が高くなります。

関係のないホームページを見ているときにも表示させることで、ニーズが喚起できたり自社を思い出してもらえたりするきっかけにもなります。さらに、広告に触れる回数が上がるだけで、好感を抱いてもらえることも期待できるのです(単純接触効果)。

7. チャットボット

問い合わせには素早く返信することで、顧客の関心を引きつけられます。とはいえ、いつでも即座に対応できるわけではありません。ホームページなどに単純な質問に対してチャットで返信してくれるツールを設置すれば、顧客満足度も向上するでしょう。

質問内容に対して適切な回答メッセージを設定しておくと、顧客の「問い合わせをするまででもないけど、気になる」といった小さな疑問にアプローチできます。また、よくある質問ページや膨大な資料のなかから顧客は探す手間もなく、欲しい情報を入手できます。

AIでの自動回答を設定する方法もあり、悩みを速やかに解決することでアプローチ回数を増やし、顧客との接点を増やすのにも効果を発揮します。公式LINEなどにも、チャットボットのシステムは使用されています。

8. 診断ツール・チェックリスト

企業のホームページには、顧客のニーズに合った商品を診断するツールを設置するのがおすすめです。顧客のなかには、漠然と悩みを抱えていても、それがどのように解決できるのかわからない場合もあるでしょう。診断ツールやチェックリストを配置しておくと、見込み顧客はチェックを続けることで、自社の抱える課題が明確になります。設問には顧客の抱えている課題に対して、有効な解決策が提示できるようなものを用意します。

たとえば製造業の場合、機械の故障頻度に課題を抱えていたとします。機器の大きさから用途まで診断ツールに入力していくと、課題を解決しそうなサービスや部品を紹介してくれるのです。顧客の課題と商品やサービスが一致すると、顧客の興味や関心度を引きつけられ、受注確度が上昇します。

9. インサイドセールス

顧客のニーズを探り育成するためには、昔ながらのインサイドセールスを行う手法も有効です。インサイドセールスとは、顧客と直接顔合わせることなく、メールや電話で行う営業活動のことです。ここでは架電でのセールスを説明します。電話を使ったセールスでは直接話ができるので、会話中に顧客のニーズをより鮮明に引き出すことが可能です。疑問に思ったことをその場で解決できるため、顧客の安心感にもつながります。

他のナーチャリングコンテンツで良い反応のあった顧客に電話で直接アプローチすると、受注確度が上昇します。重要なのは、検討度の高い顧客に対してのみインサイドセールスを行うことです。顧客との間に信頼関係が築けていないのに急なアプローチを行うと、不信感を招き失注につながります。

10. 紙のダイレクトメール

メールなど、オンラインでのやりとりが主流となっている現代では、紙のダイレクトメールも有効なリードナーチャリングのコンテンツとして使えます。電子の時代に、紙で顧客と交流を図ることで、他社とは異なるアプローチが可能です。メールは迷惑メールに入ってしまったり、件名が魅力的でなければ開かれなかったりする一方、ファックスや郵送で送るダイレクトメールなら確実に顧客の手元に届きます。

紙のダイレクトメールなら、メールよりもレイアウトの自由度が高く、視覚的により多くの情報を顧客に届けられます。これまでアプローチしても反応がなかった顧客に対しては、紙のダイレクトメールを送ってみることをおすすめします。


リードナーチャリングのコンテンツ活用事例 15選【BtoB製造業】

リードナーチャリングの概要が把握できたら、コンテンツを充実させリードナーチャリングに取り組んでいる企業を見ていきましょう。この章では、とくにリードナーチャリングの難しいBtoB製造業に絞って紹介しています。それぞれの良いところや、自社でも導入できそうな箇所を参考にするのもおすすめです。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ①】ハードロック工業株式会社

※画像の出典元:ハードロック工業株式会社 WEBサイト

ハードロック工業株式会社はゆるみ止めねじの開発製造販売を行う企業です。企業のホームページのほか、オウンドメディア「ねじ締結技術ナビ」を運営しています。ねじのノウハウを幅広く発信することで、信頼を獲得しています。

※画像の出典元:ネジ締結技術ナビ

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ②】パナック株式会社

※画像の出典元:パナック株式会社 WEBサイト

パナック株式会社は高機能プラスチックフィルムを下降・販売している企業です。企業のホームページのほか、オウンドメディア「plasticfilm-labo.com」を運営しています。

plasticfilm-labo.comはプラスチックフィルムの基礎知識を提供するだけでなく、「重要キーワード」で顧客の需要が高いキーワードがまとめられており、ユーザーが使いやすいオウンドメディアです。

※画像の出典元:plasticfilm-labo.com

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ③】株式会社長野サンコー

※画像の出典元:株式会社長野サンコー WEBサイ

株式会社長野サンコーは、精密プレス金型や部品の設計から販売までを手がけている企業です。

企業ホームページで「絞り加工」や「プレス金型」といった検索需要が大きいキーワードでSEO対策を行い、大量の加工事例を掲載して顧客のニーズに応えています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ④】荒川技研株式会社

※画像の出典元:荒川技研株式会社 WEBサイト

荒川技研株式会社は、新製品開発のモデルクリエートやプラスチック製品の総合プランナーを行っている企業です。顧客の領域を絞ったキーワードでSEO対策を施し、幅広い工程で自社の技術をPRしています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑤】株式会社共栄精機

※画像の出典元:株式会社共栄精機 WEBサイト

株式会社共栄精機は精密板金加工や金属プレス加工を行っている企業です。「東京+〇〇」など関東近辺に絞ったキーワードを設定することで、より確度の高い顧客の獲得が可能になっています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑥】株式会社サイトウ工機

※画像の出典元:株式会社サイトウ工機 WEBサイト

株式会社サイトウ工機は、ホブ盤修理や歯車製品加工を手がけている企業です。多種多様な形状を持つ歯車を名称ごとに分けてキーワード対策を行っています。知識がない人にもわかりやすいコンテンツを作成して、幅広い顧客に対応しています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑦】鳴滝工業有限会社

※画像の出典元:鳴滝工業有限会社 WEBサイト

鳴滝工業有限会社は鋼構造物や歯車の製造を行っている企業です。歯車の選定基準から、自社の独自技術まで網羅したコンテンツ作りで、顧客の信頼を集めています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑧】株式会社石井精工

※画像の出典元:株式会社石井精工 WEBサイト

株式会社石井精工は、ゴム製品・金属製品製造を行っている企業です。

企業ホームページのほか、YouTubeチャンネル「石井精工のゴム金型ch」を開設。自社の技術やノウハウを動画でわかりやすく発信して信頼を獲得しています。

※画像の出典元:石井精工のゴム金型ch

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑨】植田鍍金工業株式会社

※画像の出典元:植田鍍金工業株式会社 WEBサイト

植田鍍金工業株式会社は、金属に鍍金処理を施している企業です。顧客の一人ひとりが求めるロット数や加工の際に気になるであろうポイントなど、顧客のニーズに先回りして応える事例コンテンツが展開されてしています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑩】大同興業株式会社

※画像の出典元:大同興業株式会社 WEBサイト

大同興業株式会社は、産業機械卸売を行っている企業です。豊富な導入事例の掲載や複数のホワイトペーパーで、顧客の知りたい情報を提供しています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑪】株式会社 キトー

※画像の出典元:株式会社 キトー WEBサイト

株式会社 キトーはホイスト周辺機器の提供やマテリアルハンドリング機器などの設計から販売、修理を行っている企業です。企業ホームページには、写真の豊富な導入事例が掲載されています。ブログも顧客の疑問に答えるノウハウが掲載されており、信頼を高めることに貢献しています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑫】日新精器株式会社

※画像の出典元:日新精器株式会社 WEBサイト

日新精器株式会社は測定器や産業機器などの製造・販売を行っている企業です。公式YouTube「ニッシン・バーテクチュアル」でアニメーションでのわかりやすい解説動画を展開しており、顧客への配慮がなされています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑬】株式会社オーミヤ

※画像の出典元:株式会社オーミヤ WEBサイト

株式会社オーミヤは、膵臓配管の継手や農業用資材などの製造・販売を中心に展開している企業です。企業ホームページでは日本のねじ規格一覧表から熱中症対策まで、世の中が必要としている情報を幅広く紹介しています。顧客の細やかなニーズに応えることで、信頼を集めています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑭】フロンティアテクノロジー株式会社

※画像の出典元:フロンティアテクノロジー株式会社 WEBサイト

フロンティアテクノロジー株式会社は、ボール式熱交換器自動洗浄装置の製造・販売などを行っている企業です。企業ホームページでは、ニッチな商品をライトな語り口でわかりやすく紹介し、顧客に親しみやすさを与えています。

【リードナーチャリング コンテンツ活用事例 ⑮】東海バネ工業株式会社

※画像の出典元:東海バネ工業株式会社 WEBサイト

東海バネ工業株式会社は、金属バネの設計やオーダーメイドの受注生産を行っている企業です。企業ホームページでは、バネの辞書のようなコンテンツを掲載し、検索上位を多数獲得しています。また、細かく分類された質問掲示板を設置して読者のニーズに応えています。

オウンドメディアの「ばね探訪」では、自社と似た価値観の企業にインタビューし、自社のブランディングにもつなげています。

※画像の出典元:ばね探訪

リードナーチャリングのコンテンツ導入手順

リードナーチャリングは、以下の手順で導入します。

  1. 顧客の情報を整理する
  2. ペルソナを設定する
  3. カスタマージャーニーマップを作成する
  4. リードに合ったコンテンツを作成する
  5. リードナーチャリングの結果をスコア化し、シナリオ進めていく

リードナーチャリングを施行する前に、リードが今どのような状況にあり、何を求めているのかを把握する必要があります。ただ、やみくもにコンテンツを作成しても、受注確度を上げることはできません。正しい手順を意識して、一つひとつ施策を打っていくことが大切です。

1. 顧客の情報を整理する

まずは集めた顧客の情報の整理から始めましょう。イベントで交換した名刺やホワイトペーパーのダウンロード時に入力されたアドレス、実際に問い合わせのあった企業などの情報を一カ所に集めます。その後、顧客にはどのようなニーズがあり、検討段階のどこにいるのかを整理します。たとえば、イベントで挨拶のために交換しただけの見込み顧客と、実際に問い合わせがあり、好反応を得ている見込み顧客とでは、その後提供すべき情報が変わってくるでしょう。

入手したデータに次々と営業をかけても意味はありません。顧客が必要とするときに、必要な情報を的確に流せるよう心がけましょう。データをすぐに活用できる状態に一元化しておくことが大切です。

2. ペルソナを設定する

データをまとめた後は、自社にとって理想的なターゲットペルソナとして設定します。ペルソナとは、自社にとって理想的な顧客像です。現在抱えている課題や、理想の未来、日常的に悩んでいることなど、細かくペルソナの設定を決めておきます。具体的なペルソナを設定しておくと、よりリアルな提案が可能です。

ペルソナの悩みや理想の未来は、顧客リストやアンケートなどから情報を収集します。どのような人に向けて積極的にアプローチするのかを決めておくと、コンテンツ作成の指針が作成可能です。ペルソナを設定する際には、責任者や部下といった役職も決めておくと良いでしょう。相手によってコンテンツのタイトルや内容が変わってくるため、顧客たちが日々どんな業務を行っているのかを把握して、ペルソナを設定することを心がけます。

3. カスタマージャーニーマップを作成する

ペルソナが設定できたら、見込み顧客が具体的にどのような購入プロセスをたどるのか、カスタマージャーニーマップに落としこみます。カスタマージャーニーマップとはペルソナが商品と出会ったあと、どのような検討を経て導入に至るのかをまとめたものです。ペルソナをもとに役職等の属性に合わせた商品の検討度合いを考慮して作成します。

カスタマージャーニーマップを作成することで、見込み客の行動をより具体的にイメージでき、効果のあるコンテンツを作成しやすくなります。カスタマージャーニーマップを作成する際には、「顧客が〇〇について問い合わせをしてきたら、△△の資料を送付する」など、導入に至るまでのシナリオを作成しておくと良いでしょう。

4. リードに合ったコンテンツを作成する

ペルソナが商品を購入するまでの道筋が描けたら、リードに合ったコンテンツを作成していきます。顧客の会社規模や業種、役職など顧客の属性によって提示するコンテンツを考えます。顧客が購入に至るまでのどの検討段階にいるのかを把握し、ニーズに合ったコンテンツを提供する必要があるためです。

たとえば共催のイベントで名刺を交換した顧客は購買意欲が薄いもの。セミナーへの招待メールを送ったり、メルマガで業界情報を送ったりして、自社サービスへの信頼とニーズ喚起を行うと良いでしょう。

同じ内容のコンテンツを作成しても、顧客へのアプローチ方法によって成約数が変わってきます。そのアプローチで見込み顧客の課題解決につながるのか、常に考え続けることが必要です。

5. リードナーチャリングの結果をスコア化し、シナリオを進めていく

コンテンツを作成し、リードナーチャリングを始めたら、その成果をスコア化して分析します。スコア化とは、顧客の属性やアクションに合わせて点数をつけることです。スコア化により、購買意欲の高い顧客を明確に分類できます。

スコア化のルールは、既存顧客へのヒアリングで導入を決めたポイントを調査し決定しておきます。たとえば、メールマガジンでの情報提供が信頼を生んでいたなら、メール開封で+3点。ホワイトペーパーによって商談へ進めたなら、ダウンロードで+5点などルールを決めておきます。

ルールは営業担当の意見も聞きながら、定期的に見直していきましょう。スコア化したデータをもとに、点数の高い顧客にアプローチし、シナリオを進めることを繰り返します。

リードナーチャリングを導入する上での注意点

リードナーチャリングは、BtoB企業での受注確率を上げるのに有効な手段です。一方、ただリードナーチャリングを導入しただけでは、理想の成果を得るのは難しいもの。この章では、リードナーチャリングを導入するうえでの注意点を紹介します。

成果が出るまで時間がかかる

リードナーチャリングを導入したからといって、すぐに成果が出るわけではありません。見込み顧客の育成には時間がかかるものです。さらに、担当者が購入に意欲的であっても、BtoBマーケティングの場合、購入を決定するのは担当者ひとりだけではないためです。

購入に至るまで審議が行われ、検討期間が半年から数年かかることもあります。また、商談が前向きに進んでも、予算の関係で導入時期がずらされることもあるでしょう。コンテンツの成果がすぐに出ないことには焦らず、長期的に働きかけることが大切です。

事前の集客が必要になる

リードナーチャリングは、あくまでも顧客を育成するためのものです。施行するためには、ある程度の顧客数が必要となります。見込み顧客が少ない場合は、まずSEO対策やプレスリリースなどで信頼と顧客を集めるところから始めなければなりません。

困っている顧客や将来自社商品を必要としそうな顧客の情報を集めましょう。展示会に出展したり、複数の企業が参加するイベントに出向いて交流を深めたりして、見込み顧客の母数を増やす必要があります。

常に分析と改善が必要になる

リードナーチャリングは、コンテンツを公開してからが本番です。公開後にはスコアをもとに反応の悪いコンテンツを分析し、問題点を適宜修正します。コンテンツのなかで、顧客がとくに反応する部分があれば、その部分を深掘りしたコンテンツを作成します。

オウンドメディアを更新した際にはメルマガでお知らせしたり、資料のダウンロード後に架電したりとコンテンツの組み合わせた結果も分析しましょう。常に顧客にとって有益な情報を提供できているかを考えることが重要です。

商談後のフォローも必要になる

リードナーチャリングの成果が出て、商談に進んだあとも気は抜けません。商談後の受注率は20%〜30%程度だとされています。つまり、何もしないままでは8割近く失注してしまうのです。商談後にフォローを行わなければ、顧客は自社で得た情報をもとに他社の検討を始めます。

商談できたといっても安心せず、常に顧客の求めるものを先回りで提供し続ける意識が大切です。また成約後にはリピーターになってもらうため、購入後もサポートし続けられるようなコンテンツを作成します。

【まとめ】ポイントをおさえてリードナーチャリングを実践しよう

リードナーチャリングは、単価の高いBtoBマーケティングでとくに効果を発揮します。リードナーチャリングには顧客を育成し、受注確度の高まった顧客にのみアプローチできるメリットがあります。複数のコンテンツを組み合わせて、顧客へのアプローチを行うとより高い効果が見込めるでしょう。

顧客のデータをもとにリードナーチャリングの施策を考え、常に分析と改善を繰り返すことが大切です。短期的な成果を求めず、顧客と長く付き合うのを目標にコンテンツを作成すると良いでしょう。

ぜひこの記事を参考にコンテンツを作成し、リードナーチャリングを実践してみてください。


※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。

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