プロテオグリカンは、ヒアルロン酸を超える保水力を持ち、コラーゲンの生成も促進する注目の美容成分です。しかし、その特徴や正しい摂取方法については、まだ十分に理解されていない部分も多くあります。

本記事では、プロテオグリカンの基礎知識から美容効果・摂取方法まで、詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

プロテオグリカンとは? 概要を解説

プロテオグリカンは、動物の皮膚や軟骨に存在する糖タンパク質の一種で、タンパク質と多糖が結合した複合体です。中心となるコアタンパク質に、コンドロイチン硫酸などの糖鎖が多数結合した構造を持ちます。

特徴的なのは、糖鎖が持つ高い水親和性により、スポンジのように水分を保持できる点です。コアタンパク質部分は、ヒアルロン酸やコラーゲンと結合し、組織に適した構造を形成する機能があります。

なお、プロテオグリカンには、コアタンパクの違いなどにより複数の種類が存在します。

● プロテオグリカンの種類

名称機能
アグリカン関節軟骨に多く存在する巨大プロテオグリカンで、外部からの衝撃を吸収する働きを持つ
パールカン表皮の基底膜に存在し、ラミニンやⅣ型コラーゲンと相互作用して基底膜を強化する
バーシカン軟骨や脳・血管・皮膚の真皮など広範囲に存在し、肌のハリや弾力に関わる
デコリン皮膚や腱・骨などに存在し、コラーゲン線維の太さを調節する機能を持つ

プロテオグリカンは、1970年代に発見されて以来注目されてきましたが、当初は抽出が困難でした。近年の研究技術の進歩により、サケの鼻軟骨から効率的に抽出できるようになり、実用化が進んでいます。

プロテオグリカンの美容効果

プロテオグリカンの美容効果を最大限に活かすには、その特徴を正しく理解することが重要です。ここでは4つの主要な効果について詳しく解説します。

  1. 保水力がある
  2. ヒアルロン酸を増やす
  3. コラーゲンを増やす
  4. 肌のターンオーバーを整える

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 保水力がある

プロテオグリカンは、驚異的な保水力を持つ成分として注目されています。その保水力は、ヒアルロン酸の約1.3倍にも達するほどです。

また、水溶性で肌の内部まで浸透しやすいため、持続的な保湿効果が期待できます。

プロテオグリカンの保水力は、特徴的な構造によるものです。

中心となるコアタンパク質から伸びる多数の糖鎖が、まるでブラシのような形状を作り出し、その隙間に大量の水分を抱え込みます。このような独特の構造によって、肌の水分が蒸発することを抑制し、角層の水分量を保つ仕組みです。

2. ヒアルロン酸を増やす

プロテオグリカンは、肌の真皮層に存在するヒアルロン酸の生成を積極的に促進する重要な働きを持っています。

加えて、ヒアルロニダーゼと呼ばれるヒアルロン酸を分解する酵素の活性を阻害することで、ヒアルロン酸を保護する抗老化作用も持ち合わせています。

つまり、プロテオグリカンは産生を促進するだけでなく分解を抑制することで、ヒアルロン酸の量を維持するはたらきがあるといえるでしょう。

プロテオグリカンのこのような作用によって、肌本来の保湿機能を高め、自然なみずみずしさとしなやかさを高められます。

3. コラーゲンを増やす

プロテオグリカンには、コラーゲンの生成を積極的に促進する効果もあります。

コラーゲンは線維芽細胞という細胞で産生されますが、プロテオグリカンには加齢や紫外線などの影響で働きが低下した線維芽細胞を活性化させるはたらきがあるのです。

プロテオグリカンの構造には、上皮細胞の生成や修復を促進するEGF(上皮細胞成長因子)と似た部分があります。この構造が、細胞の活性化に重要な役割を果たしていると考えられています。

コラーゲンの生成を促すことで、肌のハリやキメを整える効果が期待できるでしょう。

4. 肌のターンオーバーを整える

プロテオグリカンには、肌のターンオーバーを整える効果もあります。

加齢とともに、細胞の再生機能が低下して肌のターンオーバーが遅くなりがちです。

そこでプロテオグリカンは、上皮細胞の生成や修復を促すEGF(上皮細胞成長因子)と類似した構造を持つため、肌細胞の成長と増殖を促進する重要な役割を果たします。

具体的なプロテオグリカンの効果としては、ターンオーバーの過程を正常化することが挙げられます。

肌のターンオーバーが正常化すると、古い角質が適切に除去され新しい細胞に置き換わることで、くすみやシミが改善されるでしょう。

プロテオグリカンを取り入れる方法

効果的なプロテオグリカンの摂取には、複数のアプローチを組み合わせることが重要です。

  1. 食事
  2. サプリ
  3. 運動

ここでは、3つの主要な摂取方法について詳しく見ていきましょう。

1. 食事

プロテオグリカンは、魚類や肉類の軟骨部分に多く含まれています。とくに、鮭の鼻軟骨には豊富に含まれており、青森の郷土料理「氷頭なます」として親しまれています。

そのほかのプロテオグリカンが多く含まれている食材は、以下のとおりです。

  • フカヒレ
  • うなぎ
  • 干しエビ
  • 山芋
  • 鶏軟骨 など

プロテオグリカンは熱に弱いため、調理方法が限られることを押さえておきましょう。

また、体内で消化される過程でアミノ酸まで分解されるので、食事からの摂取だけでは十分な効果を得ることが難しいという面もあります。そのため、食事での摂取を基本としながら、ほかの補給方法と組み合わせるのがおすすめです。

2. サプリ

プロテオグリカンを摂取する方法として、サプリメントも挙げられます。

栄養の吸収率を高めるために、サプリメントは食事と一緒のタイミングで摂取することが推奨されています。また、安心して利用できる商品を選ぶには、GMP認証製品のなかから選択するとよいでしょう。

GMP認証とは:

製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基

※出典元:日本健康・栄養食品協会

なお、サプリメントでプロテオグリカンを摂取する場合においても、食事と同様にある程度胃や腸で分解されてしまうことは押さえておきましょう。

3. 運動

プロテオグリカンは、食事やサプリだけでなく適度な運動によって体内でつくり出すことも可能です。

歩行時の関節の上下運動そのものが、関節液の代謝を促進しプロテオグリカンの産生力アップにつながるといわれています。

ウォーキングや膝の曲げ伸ばし運動をすることで関節周辺の血流が促進され、軟骨細胞への酸素や栄養の供給が増加するためです。

運動は、無理のない範囲で取り組みましょう。激しい運動は関節へ負担をかける恐れがあるため、ウォーキングやストレッチ・バランス運動などの軽い運動がおすすめです。

プロテオグリカンは美肌効果のある保湿成分

プロテオグリカンは、ヒアルロン酸の1.3倍もの保水力を持ち、肌の深部まで浸透する優れた保湿成分です。コラーゲン生成の促進やターンオーバーの正常化など、複合的な美容効果も期待できます。

さらに、ウォーキングなどの軽い運動を生活習慣の一部にすると、より効果的にプロテオグリカンの恩恵を受けられます。

美しい肌づくりのアプローチとして、プロテオグリカンを意識的に取り入れましょう。


※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。

この記事を書いた人