instagramのフォロワー数は4万人以上、TikTokなども含めたSNSの総フォロワー数は5万5,000人以上。 ※2023年1月時点

独特の世界観を持ったお部屋と人柄の良さから大人気となったルームスタイリスト・整理収納アドバイザーの安藤秀通さん(通称:ひでまるさん)。

RoomStylist×整理収納アドバイザー安藤秀通(ひでまる)
@hidemaroom from instagram

筆者は、ひでまるさんと同じく、整理収納アドバイザーとルームスタイリストの資格を持っています。筆者がルームスタイリストプロの資格を取ったのは、過去にひでまるさんの“好き”が詰まった家に直接お伺いして、お部屋への“愛”を語ってもらったことも大きく影響しています。

ひでまるさんの家の玄関のドアを開けると、そこはもう別世界。

なんの変哲もない外観のマンションの中に、異世界の空間「hidemaroom」(インスタグラムのアカウント名)が広がっていました。

ひでまるさんは、今でこそ、たくさんのグリーンに囲まれてモノの少ないシンプルライフを送っていますが、整理収納の理論を学ぶまでは700枚以上のTシャツを持っていたほどマキシマルな生活を送っていたといいます。

ひでまるさんも筆者自身も整理収納で大きく人生が変わりました。自分が変わると、家族も変わり、人生も変わっていくことをお互いに体感しています。

そんな私たちだからこそ、家が片付けられずに悩み苦しんでいる人に伝えられることがあるのではないか?

そんな想いから、ひでまるさんに「ミニマリストの片付け」のコンセプトをお伝えしたところ、共感いただき、このインタビューが実現しました。

今回は、整理収納アドバイザーになるまでの経緯や現在のミニマルな暮らしについてのお話を聞いてみました。

(インタビュアー:藤野こと)

安藤秀通(あんどうひでみち)さんはこんな人

東京都内にある47平米のリノベーションマンションで、男性パートナーと二人暮らしの様子を情報発信している大人気インスタグラマー。整理収納アドバイザー1級の資格は2021年7月に取得。

ルームスタイリストプロ・整理収納アドバイザーの資格を活かし、訪問およびオンラインによるインテリアや整理収納サポートをおこなっている。自宅を紹介しながらインテリアや整理収納について学べるホームセミナーはいつも満席。SNS運用講座やコンサルティング、執筆なども手がけている。雑誌やメディアの取材依頼は跡を絶たないほどの人気ぶり。

会社員を辞め、インテリアと整理収納の仕事をしていくことを決断

安藤秀通さん(通称:ひでまるさん)

―― 資格取得からわずか1年半で、ルームスタイリスト・整理収納アドバイザーとして活躍されている人はとても少ないと思います。

資格を取得するだけで満足してしまう人が多い中で、ここまで活躍できているのはなぜだと思いますか?

個人が自由に発信できる時代になったことが、大きな要因の一つだと思っています。

いまは芸能人でなくてもSNSやブログで発信できる時代です。この流れに乗ろうと思い、インスタグラムで発信を始めました。勤めていた会社を退職する半年くらい前のことです。

私は以前、水族館や美術館などのショップのディスプレイの仕事をしていました。そのときに整理収納の基本を学んだことでお部屋が整ったことが、大きな転機ですね。もともとインテリアが好きだったこともあり、これからこの仕事をフリーランスとしてやっていきたいと考えるようになりました。

会社を辞めることは一つの冒険かもしれません。

でも、会社員として仕事をしながら、副業で片付けの仕事を両立できるほど、自分は器用だと思えなかったんです。それならば、退路を断って、整理収納とインテリア1本でやっていこうと決めて、会社に退職願を出しました。会社の中で結果を出していたので引き止められましたが、決意は固かったです。

退職後、整理収納アドバイザー1級やルームスタイリストプロの資格を取得しました。

フリーランスになる覚悟を決めたことで、インスタグラムにも力を入れるようになったんです。

私のパートナーが「やりたいことをやってみれば?」と応援してくれたことも、大きな支えでした。

―― インスタライブをはじめとしてリール動画や投稿など、たくさんの発信をしていますよね。ライブでは料理の様子を配信したり、買ってきたモノを公開したりして、ひでまるさんの日常生活が垣間見えるところにもとても親しみが持てます。

整理収納アドバイザーやインテリア関連の人気インスタグラマーさんとのコラボライブもあり、いつ・誰と・どんなライブをやるのか楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。フォロワー数が増えたのは、こういった大量行動があったからこその結果ですね。

そうですね。とにかく発信を増やすことに注力しました。

私が整理収納アドバイザーになった時点で、すでに活躍されている整理収納アドバイザーの方は大勢いました。

現場を大事にしている方、講師として活躍している方、情報発信したりメディアに出演したりしてインフルエンサーとして活動している方など… 同じ整理収納アドバイザーでも、働き方は三者三様です。

その中で、自分が選んでもらうにはどうすればいいのか、自分にしかできないことは何かをいつも考えていました。

自分の強みを活かし、唯一無二の存在になれば、誰かの役に立てるのではないか、自分を必要としてくれる人がいるのではないか、そんな想いを抱きながら発信を続けています。

―― 整理収納アドバイザーとして差別化を図ることは、選ばれるアドバイザーになるためには、とても重要ですよね。筆者も整理収納アドバイザーの資格を持つライターとして、以前コラボライブをさせていただきましたが、本当に楽しくてお話が止まりませんでした。

インスタライブでは、コメントひとつひとつに返事をしていて、本当にファンの方を大切にしているなという想いが伝わってきます。

インスタライブでのコメントは、本当にありがたくて。感謝しかありません。

その想いを伝えたくて、自然と返事をするようになっていました。

実は、私にインテリアや整理収納のサポートを依頼してくださるお客様も、取材に来てくださる方も、インスタライブからのご縁がほとんどです。

フォローのきっかけは、私の投稿を見たからかもしれません。でも、依頼に至ったのは、ライブでやり取りしているところや話しぶりを見て、「ひでまるさんなら安心して依頼できる」と思ったからだと言われました。

―― ひでまるさんが選ばれている理由は「人柄の良さ」ですよね。よくわかります。どんな質問にも丁寧に回答しているのが印象的です。

ありがとうございます。

今の時代は、サービスがいいというよりも「誰」から買いたいかが重要な時代だと思っています。

なぜか私は写真だととっつきにくそうに見えるようで…(笑) でも「話してみると好き」と言われることが多いんです。

それだったら、インスタグラムで画像だけを投稿していくよりも、ライブのほうが自分のことをわかってもらえるんじゃないかと思って、インスタライブを始めました。

インテリアや整理収納サポートの経験が浅くても、ライブを通して信頼関係を築いていくことで、ご依頼をいただけるようになったのだと思っています。

家を整えることを意識したのは、コロナ禍で在宅ワークになってから

洗面所に置かれているIKEAのドールハウス。ディスプレイのお仕事経験が活かされている

―― そもそも整理収納を学ぼうと思ったきっかけは何ですか?

コロナ禍に入り、通勤から在宅ワークに切り替わったのがきっかけです。

家で仕事をするなら、仕事しやすい環境、家を自分の好きな空間にしたいなと思って片付けを始めたのに、うまくいかなくて… もしかしたら整理収納のことをよくわかっていないのかも?と思い、整理収納アドバイザー2級認定講座を受講しました。

そこでモノと向き合うことの大切さを知り、今に至ります。

―― ホームセミナーで見せていただいた家の中は、本当にモノが少ない印象でした。

そうですね。

整理収納アドバイザーとルームスタイリストの資格を取得してから、自分にとって何が大切なのか、何が好きなのかがわかるようになったのが大きいと思います。

モノを厳選するようになったので、モノを買わなくなりました。

―― でも、インテリアショップや収納グッズのお店巡りは好きですよね?

はい、大好きです!

でも、それはインプットのためであって、何かを買うためではありません。

だから、自分が好きじゃないなぁと感じるモノでも見に行きます。お誘いを受けたら、興味がなくても行きます!全然イヤじゃないんです。

―― 柔軟性と吸収力があるんですね!

私は、性別や年齢、住んでいる場所などにこだわらず、人やモノと関わることを大切にしています。

いろいろな人から刺激をもらえることは、今後の自分のインテリア・整理収納サポートに役立つという信念を持っているので、インプットのための時間は惜しみません!

インテリアサポートは店舗ディスプレイの仕事の経験が大きい

ひでまるさんにとって癒しとなるグリーンはひとつひとつ我が子のように大切にしている

―― ひでまるさんといえば、あの独特の世界観を持ったお部屋が印象的ですね!

自分の”好き”を集めたら、あんな感じの部屋になりました。

インテリアについては、前職で店舗のディスプレイを担当していたことが大いに関係しています。

ディスプレイの経験を活かして、人の視線がどう動くのかを考え、照明やグリーンなどの配置を決めました。お部屋の見せ方にはかなりこだわりがあります。

―― インテリア・整理収納サポートにも、ディスプレイから得た知識がとても役に立っていそうですね。

はい、どんな経験も宝物です。

―― 片付けの仕事を始めて1年半にもかかわらず、訪問サポートのお仕事も多いと聞きます。これまで、お客様からの質問に答えられなかったことはありますか?

ありません。

というのは、私は直感をとても大切にしているからです。瞬間的に導き出した答えも、あとから考えて出した答えも、同じことがほとんど。だから「考えさせてください」と答えを先延ばしにしたことがありません。

“その場でできる最善を尽くす”

完全じゃないから出せない、お客様のところに行けないと思わないことを意識しています。もしかしたら失敗してしまうかもしれない。でも、そこでブレーキをかけてしまったら、先に進めないですよね。だから、自分にブレーキをかけずに、今の自分が持っている知識と経験で最善を尽くす。

クオリティの高いサポートをして、お客様に満足していただけるために、そう心がけています。

―― 素晴らしいですね。逆に失敗談はありますか?

整理収納アドバイザーの資格を取る前のエピソードでもいいですか?

―― ぜひお聞かせください!

前職で取引のあった方からのご依頼で、クローゼット整理をしたときのことです。

「まだ勉強中です」と答えたのですがOKをいただいたので、お宅を訪問サポートをしました。

作業時間は3時間。ひとまずクローゼットの中のモノを全出ししました。

お客様に要不要の判断をしてもらったんですが、まだ整理することの大切さをうまく伝えられず、手放せたモノがとても少なくて… お客様は「あげます」と言って移動させるだけ。

今なら「誰にあげますか?」と聞けるけど、当時は聞けませんでした。

結局、3時間で作業は終わらず、クローゼットが片付かないまま時間切れになってしまいました。

帰りがけに「無料なので、よかったら呼んでください」と伝えましたが、その後二度とご依頼はありませんでした。

―― そんなことがあったんですね。今のひでまるさんならどうしていたと思いますか?

少ない時間の中で、作業的には途中だったとしても「やり方がわかった!」と言ってもらえるような伝え方をしていたと思います。

―― それだけで満足度がグッと上がりますよね。

そうなんです。

やっぱり私の理想は、お客様が自分で片付けができるようになってくれること。

何度も呼んでもらえるのはうれしいんですが、やっぱりお客様自身でできるようになってほしい。それがゴールです。

私が訪問したことで「過去・現在・未来」を見てもらいたい。そのうえで、自分がどうしたいか、どうなりたいかがわかれば、いずれモノと向き合えるようになるはずです。

お客様の家への訪問時間は、ただ片付けるだけではなくて、気づきを与える時間になればいいなといつも思っています。

ミニマリストであり、ミニマリストではない暮らし

必要なモノだけが集約されたキャビネット。収納グッズの色もインテリアとして計算されている

―― 今の暮らしと以前の暮らし、どのように変わりましたか?

整理収納で、私の人生は180度変わりました。

以前は、Tシャツを700枚以上持っていて、ハンカチも100枚あったし、お鍋やフライパンも10個以上!

買うことで満足できる、安心を得られるんじゃないかと思っていたんです。

整理収納の理論を学ぶまでは、モノさえあれば何とかなる!と考えていました。

だから当時の自分は、必要なモノが見つけられず、あらゆることで時間のロスがありました。着たい服もなければ、使いたいモノもない。人間関係もいっぱいいっぱいでした。

今は、自分に必要なモノ、心地いいモノに囲まれて暮らしているので、とても幸せを感じています。

―― 具体的に洋服はどれくらい減りましたか?

今は、65センチのポールにかかるだけでオールシーズン過ごしています。たたむのが苦手なので、吊るす収納です。

多少数は変わりますが、今は上着を含めてトップスは10枚、ボトムスが2枚、靴下が8足。

どれも一軍の服なので、何を組み合わせてもおかしなコーディネートにならないし、気分がいいし、服選びも楽しい。お気に入りしかなくて、本当に快適です。

―― 確かに、ひでまるさんのコーディネートは「らしさ」がありますよね。靴下は可愛らしい柄だったりして、そこがまたいい!

そうなんです。お洋服がシンプルだから、靴下とハンカチに遊び心を取り入れています。

―― これだけお洋服が少ないということは、ひでまるさんの今の生活はミニマリストと言ってもいいですか?

ミニマリストかどうかの答えは、すごく難しいかも…

自分に必要なモノだけを選んでいる点ではミニマリストと言えるかもしれません。

でも、日本人が持つミニマリストのイメージである「最低限のモノで暮らす」という意味では、ミニマリストではないと思っています。

―― グリーンがいっぱいありますもんね。

グリーンたちは、自分の人生に癒しを与えてくれるモノ。グリーンがなくても暮らしていけるけれども、私にとっては、豊かに心地よく暮らしていくためには必要なモノなんです。

凝りたいと思うところの数にはこだわりません。

海外に住んでいるミニマリストのお友達は「友達が来たときに使うための最高の食器セットは持っているんだ。好きな洋服は数を決めていないし、飾り物だってあるよ」と言っていました。

私は、この考え方に近いですね。

―― やっぱり心を豊かにしてくれるモノは手元に置きたいですよね。

はい。モノを減らすことばかりを考えると苦しくなってきます。

私は靴を3足しか持っていません。でも、それで十分足りています。

その一方で、グリーンはたくさんあります。

「好きなモノは持ってもいいんだ」と決めたら、心がラクになって、家のことも自分のことも好きになりました。

そういう考え方が、私にとってのミニマリストです。

「ミニマリストだけれども、ミニマリストではない」と言ったらいいのかな。

つまり、モノは厳選しているから少ないけれども、好きなモノに囲まれているのが、私にとっては心地いい生活なんです。

おかげで、自分自身がどう生きたいのかも見直せて、本当に人生が変わりました。

もしシンプルライフブログを書くとしたら?

―― 普段はインスタグラムでの発信が中心で、ブログは書いていないと思うのですが…

もし、ひでまるさんがシンプルライフブログ(あるいはミニマリストブログ)を書くとしたら、どんなことを発信してみたいですか?

家やモノは、その人そのものを表わすと思っています。なので、シンプルライフブログを書くとしたら、モノにまつわるエピソードやシンプルライフになったことでどう生き方が変わったかをテーマにしたいかな。

人とモノとの関係性について語ってみたいですね。

―― ひでまるさんの場合は、モノとのストーリーがたくさんあるので、とても素敵なブログになりそう!

はい、私が持っているモノには、ひとつひとつにストーリーがあります。

モノを厳選すればするほど、モノが淘汰されていきます。不要なモノがなくなっていけばいくほど、感覚や気持ちが研ぎ澄まされていくんです。

そういう変化を交えてブログを書いていきたいですね。

―― グリーンにも、ひとつひとつストーリーがありましたよね?真ん中のビカクシダは、以前よりかなり大きくなったような…

はい、どんどん成長しています(笑)

この一番大きなビカクシダは、パートナーが私の独立祝いにプレゼントしてくれたもの。何度もお店に足を運んで、どうしようかなと迷っていたら、パートナーがサプライズでプレゼントしてくれました。本当に大好きで、思い出のモノだから、家の主役にしています。

―― ダイニングの照明のストーリーも好きです。

そうなんです。ダイニングのルイスポールセンの照明は、私のお友達からの借り物でした。その友達は「ずっと持っていてもいいよ」と言ってくれていたんです。でも、パートナーと相談して、あえて照明を買い取らせてもらいました。すごくお気に入りで、好きだから、やっぱり自分たちのモノとして持っていようとなったんです。

友人から譲り受けたルイスポールセンの照明はお部屋の雰囲気にピッタリ!

こういうストーリーや人としての生き方をブログにしてみたいですね。

ひでまるさん、素敵なお話をありがとうございました。

筆者後記

片付けの仕事をしている人の多くは、なぜこのモノを持っているのか、なぜここに収納しているのか、その理由が明確です。

筆者はどちらかというとモノが多めの整理収納アドバイザーですが、ひでまるさんはモノが少なめ。モノに対するこだわりや“好き”が、筆者よりもはるかに強いと感じました。

ひとつひとつのモノへの想いの強さが、所有しているモノの量と関係しているのかもしれませんね。筆者もさらにモノと向き合っていこうと決意を新たにしました。

そして、同じ整理収納アドバイザーでも、SNSでの情報発信やホームセミナーをしているひでまるさんとライターをしている筆者とは、活動していることがまったく異なります。それでも、こうして交流があるのは、整理収納の大切さを多くの人に伝えていきたいという共通の想いがあるからです。モノと向き合うことで、人生にも向き合えるようになります。

片付けで人生が変わることを、これからもさまざまな形で伝えていきたいと思えるインタビューでした。

※インタビュー実施:2023年1月

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。

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