遺品整理士のエトウです。

本屋さんに行けば終活の本やエンディングノートがズラリと並んでいて、今では100円ショップでもエンディングノートが買えるようになりました。

それほど多くの方の人気を集めているエンディングノートですが、ご高齢の方に限らず20代・30代の若い世代の方にもぜひ書いておいていただきたいと思います。

「若い人がなんでエンディングノートを書くの?まだ必要ないでしょ」。「どうやってエンディングノートを書けば良いの?」。今回は、こうしたお悩みを解決すべく以下のことを紹介していきます。

  • エンディングノートは何で必要なの?20代・30代の若い人におすすめする理由
  • エンディングノートに書いておきたい5つのこと

遺品整理士として実際に終活されている方のお話を伺ったことを参考にしながら、私自身の体験も交えて紹介していきます!

エンディングノートとは? なぜ必要なの?

終活は高齢の方が始めるというイメージがありますが、私はぜひ20代・30代の若い世代の方にもおすすめしたいと考えています。

終活は断捨離をする、葬儀や埋葬などのことを考える、そしてエンディングノートを用意することが多く、悪い言葉を使えば「死に支度」と呼ぶ方もいるでしょう。

しかし遺品整理士の私は、終活を「自分に万が一のことが起こった時に、自分で自分のことを意思表示できなくなったときのための保険」だと考えます。

特にエンディングノートは遺言書のように書き方に指定がないので、あなたの好きなノートに、好きなように、あなたの希望を遺族に伝えることが可能です。

ここからは若い世代の方にエンディングノートが必要な理由と、エンディングノートの注意点について解説していきます。

若い世代の人こそエンディングノートが必要な理由

私は30代前半、結婚していて男の子2人を育てているお母さんでもあります。

そして夫は出勤するのが夜中、あるいは早朝で帰りも遅いので、必然的に家事・育児は10割私が負担。

大阪府在住ですが、夫の実家は山口県でお義母さんはご高齢。私の実家は近所ですが、父が身体障害者で母も身体を壊しており、さらに仕事を2つしています。…これが我が家の現状。

内閣府が公表している「共同参参画 女性版骨太の方針2023」によると、8割以上の女性が私のように「育児や介護・家事などに女性の方がより多くの時間を費やしている」と記載されています。

仕事をして、仕事を終えればそのまま保育園や幼稚園・学童保育へお迎えに行き、その足で買い物。

帰ればすぐに夕食作りや洗濯物など家事に追われ、そこに幼い子どものお世話や宿題・習い事などの負担も加わります。

さらに日々の家計管理も任されている方も多く、毎日ギリギリの綱渡り状態で生活をしている私のような方は、もし万が一のことが起こったら…。

そう考えると不安になるのではないでしょうか?

現代の20代・30代の若い世代は、ひとりの女性が多くの役割を担っているからこそ、ご自身で意思表示ができなくなったときの備えをしておかなければ、パートナーや子どもが困ってしまいます。

だからこそ、20代・30代の若い世代の方もエンディングノートを作成して終活をしたほうがいいでしょう。

注意! エンディングノートに法的効力はない

「エンディングノートは万が一の際の意思表示の記録になる」と紹介しましたが、注意したいのがエンディングノートには遺言書のように法的効力がありません。

「走り書きのようなメモに、何の財産を誰に相続するのかが記載されていた」ということが過去にありましたが、これは無効になるだけではなく、相続トラブルにも発展します。

遺言書にはいくつか種類がありますが、比較的手軽に作成できる「直筆証書遺言」でも作成の際には法的なルールがあります。

  • 遺言者の氏名と押印がある
  • 遺言書を作成した年月日が明記されている
  • 直筆による本分である
  • 紙やペンの種類は問わない

遺言書を作成する理由はいくつかありますが、大きな目的が「法的にあなたの意思を示すことができる」というものがあります。

特に多くの遺産を残すケースでは、遺言書によって「どのくらいの遺産を」「誰が」「どのくらい」というように、あなたの意思に基づいて相続分割ができるようになります。

一方でエンディングノートは遺言書作成のルールに基づいて作成しないので、「特別な資産はないけれど、自分の意思は示したい」というケースにおすすめです。

前述したようにエンディングノートに書く内容は自由です。

そのため、ご自身がおかれている状況・環境に応じて、必要なことを書き加えるなど自由に書いても全然OK!

もし相続などしっかり備えておきたいという方は、別途遺言書や財産目録を作成しておきましょう。

完璧を目指さなくても良い

法的効力を持たないエンディングノートは、正解がありません。

だからこそ完璧を目指さなくても良いので、自由に書くことができます。

「こうかもしれない」とあらゆるパターンを想定してエンディングノートを作成すると、とてもしんどいです。

パートナーは大人なので、“対処するのに最低限必要な情報“をエンディングノートに残していれば、自分で対応することができるはずです。

例えば、財産目録のようにどの銀行口座にいくら貯蓄があるのかなど詳しく記載する必要がなく、エンディングノートにはお持ちの銀行口座の名前やキャッシュカードの暗証番号を箇条書きにするだけでもOKです。

「家族に伝われば良い」ので、“パートナーとどこまで情報を共有しているか”に応じてエンディングノートの書き方を考えていきましょう。

若い人向け!エンディングノートの書き方は? 5つのポイント

さて、いよいよエンディングノートに記載する内容について紹介していきます。

その前に断っておきたいのですが、これはあくまで「私の場合に限ります」ということです。

前述したようにエンディングノートは自由に書くことができるからこそ、ご自身がおかれている状況・環境に応じて自由に記載しするべきものです。

私はエンディングノートをWordで作成していて、印刷したものを100円ショップで購入した書類ホルダーにはさんで保管しています。

保管場所は加入している保険関係の書類などを保管しているカラーボックスに保管しています。

エンディングノートを保管している場所だけ事前に家族へ伝えておきましょう。

Wordで作成した場合に家族へ共有する際は、印刷して紙の書類として保管しておく他に、フラッシュメモリーやクラウド上に保管しておくとより安心です。

私は紙の書類としてエンディングノートを作成して、エンディングノート内にパソコンのログイン情報を記載しています。

Wordファイルの原本には契約の解約方法など企業の公式ページのURLを貼り付けているので、原本をパソコンで開くことで直接アクセスできるようにしています。

【エンディングノートの書き方①】延命措置・臓器提供など意思表示をする

まずエンディングノートは、想定される出来事の順番に作成していくとまとまりやすくなります。

私は祖母が延命措置を受けている姿を見て辛そうだと感じたことから、延命措置の希望と共に、臓器提供をしない意思表示をしています。

エンディングノートの表紙をめくれば、真っ先に延命措置と臓器提供の意思表示がわかるようにしました。

これらの他に、かかりつけ医や服用している薬、血液型、持病・障害など、治療の際に必要になるだろう情報をまとめて記載しておくといいでしょう。

【エンディングノートの書き方②】葬儀・埋葬などの意思表示をする

現代ではさまざまな葬儀・埋葬のスタイルがあるので、あなたの意思表示をしましょう。

私は特別な希望がなく、強いて言うなら葬儀や埋葬にお金や手間をかけて欲しくないので、「直葬」を希望しています。

直葬とは簡単に説明すると「火葬のみのお葬式」のことで、通常であればお通夜や告別式などの儀式を省略して、親しい方数名で執り行います。

直葬は通夜や告別式を行わないので、一般的なお葬式では平均費用約191万円である一方で、直葬の場合は平均で約36万円と費用を抑えることができます。(2021年2月〜2022年5月「小さなお葬式」調べ)

他には、最小限の弔いになるので遺族の負担も最小限にとどめることが可能です。

デメリットとしては親族から理解を得られない場合がある他に、菩提寺へ納骨できない可能性があるので、信仰している宗派がある場合などは注意が必要です。

【エンディングノートの書き方③】生命保険などお金に関することをまとめる         

生命保険では一般的に契約者がお亡くなりになったら死亡保険を受け取ることができます。

またがん保険や医療保険でも、入院治療中の医療費が給付されるケースがあるので、あなたが何の保険に加入しているのか箇条書きでもいいので記載しておきましょう。

最近では保険の総合窓口のような店舗が増えているので、思い切って「みなおし」を受けてみて、あなたと時代に合った保険を契約しておくことも大切。

担当者の名刺を保管しておき、エンディングノートに添付しておくとスムーズですね。

【エンディングノートの書き方④】デジタル遺品の取扱いについてまとめる

誰もが当たり前にスマホやタブレット端末・パソコンを所有している現代では、誰もがデジタル遺品を抱えています。

デジタル遺品とは写真や動画などをはじめ、サブスクリプションサービスやネット銀行、FXなども含みます。

私はインターネットを通じてお商売をしているので、デジタル遺品の項目はしっかりと記載しました。

  • スマホ・パソコンのパスコード
  •  各利用サービス名・ログインID・パスワード
  • 取引先への連絡
  •  事業用銀行口座・キャッシュカードの暗証番号
  • 事業用クレジットカード・暗証番号
  • お世話になっている税理士の先生
  • 店舗ホームページや各SNSの扱い など

最近では家事や育児の隙間時間にインフルエンサーとして活躍していたり、クラウドソーシングサイトを通じて副業していたりする方も増えてきているので、しっかりとデジタル遺品をどう対処してほしいのか記載しておきましょう。

【エンディングノートの書き方⑤】「もの」の取扱いについてまとめる

最後に目に見える遺品である「もの」の取扱いについて、あなたの希望を記載しておきます。

私はエンディングノートを作成するにあたって、まず「もの」の整理をしました。

「もの」の片付けについては、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてくださいね。

「もの」は遺品になるので、エンディングノートに遺品をどのように扱って欲しいのか記載しておきましょう。

  • シンプルに全て処分する
  • 指定した人に譲りたい
  •  貴金属など貴重品は売却して相続してほしい など

上記のようにあなたの意思をエンディングノートに記載しておき、希望ごとに衣装ケースなどの箱に「もの」を収納して、どのように扱って欲しいのかラベルを貼り付けておくとわかりやすくなります。

まとめ

エンディングノートは、法的効力がありません。

つまり「このようにしなければならない」という正解がないということになりますが、だからこそあなたの自由に書くことができます。

今回ご紹介した5つのポイントを参考に、あなたとご家族に合ったエンディングノートを書いていきましょう。

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。

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