遺品整理士のエトウです。

私が10代の終わり頃に、父が事故に遭って足の親指を欠損し、当たり前の日常が当たり前ではないのを感じたのが「人の死」を意識するようになったきっかけです。

そして、私自身が2人の子どもをワンオペで育てるようになり、「もし私に何かあれば家庭が回らなくなるな…」と感じて、30代で終活を始めました。

遺品整理士になって気付いたのですが、「終活を始めたい」と感じている方は以下のポイントで最初につまづいてしまいやすくなっていて、なかなか進まないという方が多くいらっしゃいます。

  • 「もの」が多すぎて、何から片付けたらいいかわからない
  • 何を片付けたらいいかわからない
  • どうやって片付けたらいいかわからない
  • 終活を終えたあとに、キレイな状態を維持する方法がわからない

終活はやることが多いので、特に何から始めるべきか悩む方が多いと思います。

おすすめは比較的小さな部屋の片付けから進めていき、ポイントをおさえて終活をした後の整理された状態を維持することです。

その理由は、小さな部屋であれば収納している「もの」の量が少ないので片付けやすいから。

今回は、私が実際に終活を進めた方法やおすすめのポイント、そして遺品整理士としてコツについて以下のことを紹介していきます!

「終活を始めたいけど何から始めたらいいかわからない」

「終活をした後にキレイな状態を保てるか不安」

このような方に役立つ内容になっているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

終活は何から始めるべき? 部屋の片付けでは「もの」に注目!

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終活では部屋の片付けから始めて行くと、必要なものと不要なものを「見える化」することができるので終活を進めやすくなります。

「もの」の整理をするうえで、大きく分けて3つのものを整理することになりますが、それぞれで整理するときのポイントがあるのでここから解説していきます。

1.「もの」の整理

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不用品回収業者に依頼して処分した家財の一部

あなたが亡くなったら、ご遺族は遺品整理で残された「もの」を整理整頓していきます。

しかし多くのご遺族の方が、「実家のものが多すぎて片付けが全く進まない」と悩んでいる現実があります。

また、「遺品整理の時間が取れない」「実家が遠方で通えない」と悩んでいる方も多く、遺品整理そのもののハードルがとても高く感じる方が多くいらっしゃいます。

そのため最近では遺品整理業者に依頼して進める方が多いですが、2LDKの間取りで12〜30万円程度の基本料が相場なので、ご遺族の経済的負担になってしまいます。

もちろんこの費用相場は「基本料」であって、必要な費用が加算されることも多いので、実際にはもっと費用がかかることも少なくありません。

そのため、まず終活では「もの」を片付けて、本当に必要なものだけを残しておくだけでも遺品整理の手間や、業者に依頼したときの費用を抑えること可能です。

ここで言う「もの」とは家具や家電製品、日用品、趣味の道具などで、貴金属やブランド品などの資産は、後述する「財産の整理」で必要なものと不要なものを仕分けしていきます。

必要なものと不要なものを仕分けしていき、どうしても判断に困ったときは「保留」に仕分けして、最後にもう一度どうするか考えてみましょう。

大きな家具・家電製品は、自治体の粗大ごみ収集を利用すれば安く処分できますが、ご自身で搬出がむずかしければ不用品回収業者に依頼するのもひとつの選択肢です。

しかし、不用品回収業者に依頼するときは注意が必要です。

過去にご依頼をいただいたお客様で、「不用品の回収を依頼したら、見積りよりも高い費用を請求された」という方が多くいらっしゃいました。

特に「施設の入居が迫っている」「同居することになった」などで、なるべく急ぎで終活を進める必要があるご高齢の方が被害に遭われています。

例えば、インターネット上で見積もりをした時点では10万円程度だったのに、作業当日に「家財の量が多い」と30万円近くもの費用を請求されてしまったケースがありました。

急いでしまうと冷静な判断ができなくなってしまうので、不用品回収業者に依頼するときはまずは「現地見積り」を利用して、実際に自宅を見てもらい見積りだけを出してもらいましょう。

そして、それを2〜3社で繰り返して、あなただけではなく、ご家族やご親戚と一緒にサービスや料金を比較してどの業者にするか決めると、冷静に判断できるので騙されにくくなります。

終活を業者に依頼する際の費用相場については、前回の記事でも紹介しているので以下のリンクかあrぜひ読んでみてください。

2.財産の整理

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

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Wordで作成した写真付き財産目録

そもそもなぜ遺品整理を行うかというと、大きな目的として「故人が残した財産を把握するため」という理由があります。

故人が残した財産を把握して、お亡くなりになった翌日から10か月までに相続税の申告を行いますが、前述したように、多くのご遺族にとって遺品整理はハードルが高くてなかなか取りかかれないという方も多い。

遺品整理→遺品の仕分け→不要な遺品の処分→残した遺品から資産価値のある財産を把握する

このステップはとても長く感じてしまうので、最初から「わたしの財産はこれです」というようにまとめてあげると、ご遺族はスムーズにあなたの残した財産を把握することができます。

前述した「もの」の整理が終わったら、次は財産の整理を進めていきます。

  • 貴金属・宝石
  • 骨董(こっとう)品
  • ブランド品
  • 現金
  • クレジットカード
  • 預貯金
  • 不動産・有価証券 など

一言で財産と言っても、上記のようにさまざまです。

財産も「もの」の整理と同じく必要なものと不要なものに仕分けしていき、売れるものは売ることで現金化することができます。

また、財産を整理したら「財産目録」を作成しましょう。

この財産目録は定期的に更新するようにして、最新の情報を残すようにしておくとご遺族が遺品整理のときに的確に判断できるようになります。

過去にご依頼をいただいたお客様で、「負債がこんなに多いなんて知らなかった」と困っているご遺族の方がいらっしゃいました。

ご遺族の方は故人様に借金があるのを知らず、遺品整理を進めていくと督促状や支払い明細などが出てきて、お亡くなりになったあとも借金が残っていたというケースです。

財産は、資産価値のあるプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産も含みます。

そのため終活をするときに財産を整理する際は、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も整理するようにしましょう。

マイナスの財産を整理する際は、弁護士や行政書士へ相談することで借金を減らせる場合があります。

まずはCICやJICC、KSCの3つの機関すべてに、「信用情報の開示請求」を行い、全ての借金を把握することが大切です。

  • CIC 信販会社・クレジットカード会社
  • JICC 消費者金融・クレジットカード会社
  • KSC 銀行

1つの機関の請求にかかる費用は500円〜1,000円程度です。

3つの機関に信用情報の開示請求をすることで、あなたが把握できていない借金が見つかるかも知れません。

3.デジタル遺品の整理

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション, メール

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エンディングノートに記したログイン情報の一部

ここまで解説した「もの」と「資産」は、目に見えるものだけとは限りません。

現代ではインターネット上に「もの」や「資産」をお持ちの方が多いので、この「デジタル遺品」に関しても整理しておかないとご遺族はとても困ってしまいます。

最近では私のようにクラウドソーシングでお仕事をされている方が増えているので、ネット銀行の利用や、有料サービスの利用、サーバー・ドメイン契約など、インターネット上に多くのデジタル遺品を残している方が増えています。

年代を問わずスマートフォンやタブレット端末・パソコンを所有している方が多いので、デジタル遺品についても終活のときに整理するようにしておきましょう。

  • 写真や動画などのデータ
  • 会員登録しているサービス
  • サブスクリプションサービス(サブスク)
  • インターネットバンキング(ネット銀行) など

動画配信サービスなどサブスクを利用している場合は、クレジットカードで料金を支払っていると自動更新でカードが有効な限り料金を支払うことになるので注意が必要です。

各サービスのログインIDとパスワードについても、財産目録同様にまとめておくと遺品整理のときにスムーズです。

「どのサービスに会員登録をしていたっけ?」と悩んだら、ブラウザに保存されているログイン情報を調べてみたり、届いているダイレクトメールから利用しているサービスを特定します。

特にブラウザにGoogle chromeを利用している場合は、ログインIDやパスワードを調べることができるので便利です。

【参考】パスワードを管理する|Google chromeヘルプ

ここまでご紹介したように、終活は大きく分けて3つのことを整理していきます。

しかし実際にはもう少し細かく整理していったほうが安心です。

さきほども紹介した以下の記事で、私が実際に行った終活の方法について紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。

日頃のお片付けを習慣化しておくとラク!コツとポイントは?

机の上にある文房具

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終活は、家財を整理すればおしまいというわけではありません。

終活を終えてもその後の生活は続いていくので、再びものであふれてしまっては意味がありません…。

そこで終活をした後のポイントとなるのが、「現状維持」です。

ここからは、終活を終えたあとの部屋のお片付けのポイントやコツについて紹介します。

「もの」の定位置を決める

冷蔵庫の中身

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衣類やインテリア雑貨をラベリング・収納した衣類ケース

「どこに片付けたっけ?」

「ここに片付けたはずなんだけどな…」

こんな経験ありませんか?

終活のときに必要なものと不要なものを仕分けして、必要なものを再び片付けるときに収納やレイアウトを変えると、どこに何を片付けたのかわからなくなってしまいがちです。

そこでおすすめなのが、「ものの定位置を決めること」です。

例えば、文房具はリビングや寝室などに分散して片付けずに、リビングの引き出しに定位置を決めて収納するようにしてみましょう。

このとき引き出しにラベルを貼り付けておけば、ひと目で何が収納されているかわかるので、あなただけではなく、万が一の際にご遺族も把握しやすくなります。

文房具だけではなく、衣類や日用品、貴重品などを収納するすべての引き出しや棚にラベルを貼り付けるのもいいですが、特に貴重品を保管している場所に「ラベルを貼り付けるのはちょっと…」という場合もあるでしょう。

この場合はエンディングノートを作成して、ノートにどこに何が片付けてあるか記載しておくとわかりやすくなります。

ご家族や親族など、信頼できる人に貴重品の保管場所や、金庫の番号などを伝えておくことも大切です。

ストックは控えめに

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定期購入して仕事部屋にひとまず保管されたものたち

「引き出しに賞味期限が過ぎた食品が大量にあった」

「押し入れが日用品でいっぱい…」

レトルトやインスタント食品・缶詰など日持ちがする食品や、ティッシュやトイレットペーパーなどの日用品は、必要な分より少し多めに買っておきたいものです。

しかし買うときに、前回どれだけの量を買って、現在どれだけの量が残っているのか忘れてしまい、「安いうちに買っておこう!」と買ったけれども、まだまだストックが残っていた…。

あるあるではないでしょうか?実は私もあります。

私の場合は、インターネット通販で日用品や食品定期購入しているので、毎月まとめて届くと押し入れやパントリーが一時的ですがいっぱいになります.…。

一時的でもいっぱい、…それどこか置き場がなくてキッチンや仕事部屋にものがあふれるのが嫌で考えたのが、「残量を把握すること」と「そもそも買いすぎないこと」です。

まず「残量を把握すること」では、ストックしておく場所を決めておき、こまめにチェックします。

「残りが何個」というようにメモをとってもいいですし、スマホで写真を撮れば一瞬ですみますね。

買い物に行く前の習慣にすれば、スーパーやドラッグストアで確認してから購入できるので買いすぎることはありません。

私のようにネット通販で定期購入している場合は、おそらくほとんどのケースで月ごとに購入量を選べるはずなので、こまめにストックの残量を確認して購入する量を調整するのがポイントです。

ネット通販の場合、まとめて購入すれば割引きが適応されますが、そもそも必要以上に購入しなければ割引き金額よりも高い金額を節約できます。

「ローリングストック」という言葉があるように、必要なものがなくなりそうになったら、必要な分を購入していき、再度使う。そしてなくなってきたら買い足すようにしましょう。

2年使っていないものは処分する

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食品や日用品はいつか使い切ることができるでしょうが、衣類やインテリアなどは片付けない限りずっと残ります。

「そんなに服を買っていないのに衣類ケースがパンパン」

「インテリア雑貨をよく買うけど、使わなくなったものは捨てられずにクローゼット行き」

私もまさにこれで、服は圧縮袋で圧縮してもケースにパンパンになってしまい、何個もケースを用意していたのでクローゼットに余裕がありませんでした。

またハロウィーンやクリスマスなど、季節のインテリアはついつい季節ごとに買ってしまうので、使わなくなったものはクローゼットに眠ったまま…。

こちらも私は終活する際に「2年使っていない」を目安に片付けました。

この2年というのは、衣類であれば流行が去る目安であり、また私自身の気持ちの問題で、「2年使ってないし、処分してもいいかな?」と思える年数なので2年と決めました。

これが2年でなくても、3年でももちろんいいですが、5年・10年となるときりがないので、できるだけ短い年数で「処分するルール」を決めて片付けるようにしてみましょう。

手続きは後回しにしない

本棚に置かれた本

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家族全員分の書類を保管しているカラーボックス

細々とした手続きは、意外と高い頻度であるので正直面倒に感じてしまいますよね。

書類が届いても「後で確認しよう」と置いておいたり、「今度ひまなときに申請しに行こう」というように後回しにしたりしてしまうと、気付いたときには「あっ!やってしまった…」ということに…。

もし万が一のことがあったときに、この申請関係はご遺族にとって大きな負担になることもあります。

また書類をためすぎると、遺族からすると「何の書類かわからない!」ということになることがよくあります。

そのため、手続き関係をはじめ書類が届いたらこちらも定位置に置いておくようにして、後回しにせずに確認、そして不要なら処分するようにしましょう。

まとめ

終活は、「もの」の整理から始めると、片付けなければならないものが見えるようになるので整理しやすくなります。

「ものの整理」「財産の整理」「デジタル遺品の整理」この3つを整理することから始めて行きましょう。

そして終活を終えたらおしまいではなく、整理した状態を現状維持することが大切です。

ものを定位置に収納するようにして、ストックの買い置きは控えめに、2年を目安に使っていないものは処分して、手続き関係はなるべく早くすませていきましょう。

終活はご自身のペースで進めていくことが理想ですが、終わりが見えなければなかなかやる気が起きないという方も多いと思います。

そのため、終活を始めてから半年〜1年後までというように、無理のない目標を立てると終了予定日頃から逆算して何をしなければならないのかが見えてきます。

あまりスケジュールを詰め込みすぎると辛くなってくるので、余裕をもって終活を始めて行きましょう。

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。

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