約9,600万人(※2023年12月末時点)のユーザーを持つLINEを利用し、スムーズな動線でリピーターの獲得が期待できる「LINEミニアプリ」を導入する企業が増えています。
LINEミニアプリの機能、LINE公式アカウントと併用するメリット、開発・運用方法などについて解説します。
LINEミニアプリとは? LINE公式アカウントとの違い
※画像の出典元:「LINEヤフー for Business」WEBサイト
LINEミニアプリ(LINE Mini App)とは、LINE公式アカウントにアプリ機能を追加し、予約や決済などの機能をLINE上で提供できるサービスです。2019年6月27日に開催された「LINE CONFERENCE 2019」で発表され、一部での先行スタートを経て2020年7月から一般の開発申請が始まりました。
LINEミニアプリはWebアプリケーションなので、ユーザーはアプリをダウンロードしなくても使えます。そのためスマホの容量を圧迫せず、通信料以外の使用料金もかかりません。LINE上で起動できるので、LINEにログインしていれば別のサービスにログインする必要もなく、スムーズな動線で利用できます。
ミニアプリと公式アカウントの違いを端的に説明すると、ミニアプリの目的はサービス提供で、公式アカウントの目的はユーザーへのお知らせとコミュニケーションです。併用することで、それぞれに足りない機能を補えます。
LINE以外でも注目される「ミニアプリ」とは
ミニアプリとは、さまざまなサービスや機能を持つネイティブアプリ上でサービスを提供するプログラムです。プラットフォームとして成り立つ多機能なネイティブアプリをスーパーアプリと呼び、国内でスーパーアプリと定義されるものには、LINEとPayPayがあります。
ネイティブアプリを自社開発してもダウンロードしてもらえなかったり、使ってもらえなかったりといった課題を持つ企業は多く、ユーザー数が多く日常的に利用されているスーパーアプリ上で起動・サービス提供ができるミニアプリに注目が集まっています。
LINE公式アカウントと連携できる!併用のメリット
LINEミニアプリとLINE公式アカウントを連携するメリットが、友だち追加への誘導です。連携したあとで友だち追加オプションの設定をしておくと、LINEミニアプリをはじめて開いた際の認証画面に「友だち追加ボタン」がチェックされた状態で表示されます。あとはアプリの利用を承認するだけで、自動的に友だちに追加されます。
※参考:友だち追加オプションの設定手順(LINE Developers)
具体的な併用の方法としては、店舗の予約や店内でのオーダーにミニアプリを使用して、自然な流れで友だち追加を促します。その後、ミニアプリが提供するサービスで店舗でのユーザビリティを高め、退店後は公式アカウントからクーポンやお知らせを送ることで、リピーターの獲得に繋げられます。
LINEミニアプリの導入事例を紹介
LINEミニアプリを導入している企業の事例を紹介します。
【LINEミニアプリの導入事例①】DAISO(ダイソー)
※画像の出典元:「株式会社コスモテック」2022年9月2日プレスリリース
ダイソーでは、2022年3月に「デジクル for LINEミニアプリ」を導入した結果、南関東地区での販促キャンペーンで成功を納め、同年9月より国内約3,200店舗でシールキャンペーンのデジタル活用を開始しました。
これまでは購入時にレジで配られる台紙に貼って集めていたシールを、LINE上で貯めて管理できる形式に変更し、家族・友人間でのデジタルシール共有、公式通販サイトの購入者のキャンペーンに参加できるようになりました。
台紙を紛失する可能性がなくなり、紙の使用を抑えてSDGsに貢献し、非接触・非対面での対応は感染症対策にもなり、企業は紙の管理や印刷代などのコストダウンに加えて顧客情報の取得もできます。
ダイソーの企画運営会社であるブランド・ロイヤルティ・ジャパン社は、この見直しによって約50t分の上級印刷紙が削減され、原材料および生産段階で発生する二酸化炭素量を約74t削減できる見込みだと発表しています。
※参考:「株式会社コスモテック」2022年9月2日プレスリリース
【LINEミニアプリの導入事例②】DEAN & DELUCA
※画像の出典元:「株式会社ウェルカム」2022年3月31日プレスリリース
DEAN & DELUCAでは、会員登録や買い物体験の向上、店舗スタッフの業務効率化を見据えてLINEミニアプリを導入しました。会員登録にかかっていた時間を短縮することで、顧客と接する時間を増やしたり、レジの混雑解消したりといった狙いがあります。プラスチック製だった会員カードをデジタル移行することでプラスチック使用量の削減も目指しています。これまでは1年で30万枚のプラスチック製会員カードを配布していたとのこと。重量にすると、年間1.5tです。既存システムのデジタル化は、環境保全の観点でも注目されています。
※参考:「株式会社ウェルカム」2022年3月31日プレスリリース
【LINEミニアプリの導入事例③】スシロー
※画像の出典元:「株式会社FOOD & LIFE COMPANIES」2020年7月2日プレスリリース
スシローはLINEミニアプリを活用し、来店予約システムを導入しました。LINE上で予約番号が発行され、順番が近くなると通知がくる機能です。
これまで、スシローの公式アプリはネイティブアプリを利用していましたが、ダウンロードしてもらえない、常態的に使用してくれないライトユーザーを取り込むためにLINEミニアプリの併用を開始しました。
結果として店舗の行列や混雑が緩和され、顧客のストレス軽減、店舗スタッフの業務負担軽減につながっています。
※参考:「株式会社FOOD & LIFE COMPANIES」2020年7月2日プレスリリース
「ミニマリストの片付け」を運用するトレファクテクノロジーズは、システム/アプリ開発とマーケティングの両面から、LINE運用を一貫して支援しております。集客にお困りの方はお気軽にご相談ください。
【機能紹介】LINEミニアプリでできること
※画像の出典元:「LINEヤフー for Business」WEBサイト
LINEミニアプリでできること、機能を紹介します。個別開発をすれば、もっと様々な機能が追加できますが、ここでは一般的な5つの機能を例に挙げました。
【LINEミニアプリでできること①】モバイルオーダー(店内注文/店外注文 /テイクアウト)
主に飲食店で利用されている機能で、テーブルやメニューなどに記載されたQRコードを読み込むとLINEが自動的に立ち上がり、注文ページが表示されます。
シンプルな構造で使いやすく、非接触での注文が可能なので、感染症対策の面でも便利な機能です。 オーダーミスや業務負担も軽減できます。
【LINEミニアプリでできること②】デジタル会員証(会員証アプリ)
美容院や飲食店などのポイントカードとして利用されるケースが多い機能です。サービスや商品の購入、来店に応じて貯まるポイントをLINE上で管理できます。予約状況がリアルタイムで反映されるので、ダブルブッキングの心配もなく、印刷のコストもかかりません。
また、POSシステムとデジタル会員証を連携させると、来店回数や購入履歴などの顧客データの収集・解析も可能です。相性のいい商品情報をや、来店のきっかけになるクーポンを送ると言った、効果的な販促活動ができます。
【LINEミニアプリでできること③】順番待ち
飲食店やクリニックなどで多く使われている機能です。紙のリストや整理券で管理していた順番待ちの顧客を、オンラインで管理できます。
LINE上で混雑状況を把握できるだけでなく、順番が近づくとLINEからリマインド通知がくるため、待ち時間による顧客の負担を軽減でき、スタッフの列整理や人数把握などの業務負担も軽減できます。
【LINEミニアプリでできること④】予約機能
日時を選択するだけで予約が取れるフォームをLINE上に設置できます。公式アカウントのように双方向のやり取りで日程を決めるのではなく、入力されたデータをもとに管理画面での予約管理が可能です。外部の予約サービスを介さずに予約を獲得できるため、手数料や手間が削減できます。
【LINEミニアプリでできること⑤】クーポン機能
LINEミニアプリで使用できるクーポンやキャンペーン情報などを作成し、メッセージやタイムラインに送信できます。デザインや印刷といったコストを抑えられ、内容も簡単に変更できるため、手軽な販促活動ができます。友だちに追加されたユーザーにクーポンを配布する動線もつくれば、再来店や満足度の向上に繋がります。
LINEミニアプリ導入のメリットとデメリット
LINEミニアプリを企業が導入した際の、メリットとデメリットについて解説します。
【LINEミニアプリのメリット①】ユーザーの利用ハードルが低い
ユーザーのメリットと表裏一体ですが、LINEミニアプリは利用ハードルが低く削除されにくいので、ユーザーに使ってもらいやすいというのが、一番のメリットです。アプリのアップデートも自動で行われるので、ユーザー側に面倒なアップデート作業を課すこともありません。
クレジットカードや住所などのLINEに登録してある情報も、サービス購入時などに利用できます。
【LINEミニアプリのメリット②】アプリ開発費が半額
ネイティブアプリはiOSとAndroidでそれぞれのアプリを開発する必要がありますが、LINEミニアプリは母体となるLINEに対応するWebアプリを開発するだけで済みます。そのため、アプリ開発費が従来の半額程度に抑えられます。アップデートもLINEに連動して自動でおこなわれるため、運用コストも低いです。パッケージプランを使えば、さらに開発費用を抑えられます。
【LINEミニアプリのメリット③】公式アカウントの配信費用を抑えられる
通常LINE公式アカウントから配信する場合は送信数に応じて費用が発生しますが、LINEミニアプリのシステムから送信されるサービスメッセージは課金の対象になりません。来店後のサンクスメッセージの自動送信も可能で、公式アカウントと連携すればプッシュ通知の機能も使えます。
【LINEミニアプリのメリット④】起動場所を選ばずリピートされやすい
公式サイトやSNS、飲食店のメニューなど、QRコードさえ記載されていれば素早く起動できるため使い勝手がよく、リピート利用されやすいです。
LINEミニアプリで取得した予約情報やクーポンを、LINEで友だちに共有もできるので、友だちの友だちユーザーとして流入する可能性もあります。
【LINEミニアプリのデメリット①】独自性が出しづらい
一から開発するネイティブアプリと比較すると、独自性が出しづらい点はデメリットと言えます。しかし、LINE公式アカウントと併用することで、ある程度の独自性を表現することは可能です。また、パッケージプランを利用するのではなく、自社独自のLINEミニアプリを開発すれば、さらに他社との差別化を図れます。
【LINEミニアプリのデメリット②】LINEユーザー限定のサービス
当然ながらサービスの対象となるのはLINEユーザーだけなので、LINEの利用率が低い層をターゲットにしている企業には不向きです。
【LINEミニアプリのデメリット③】コミュニケーションが取れない
クーポンや告知を通知できても、双方向のコミュニケーションは取れません。LINE公式アカウントと連携・併用することで、アプローチの機会を増やしましょう。
LINEミニアプリの審査項目、審査期間
LINE社のガイダンスに基づく審査で認定されなければ、LINEミニアプリをリリースできません。審査には、開発前におこなう「サービス事前審査」とリリース前におこなう「リリース審査」があります。審査が終了するまでには約1〜2週間ほどかかるため、余裕を持って申請しましょう。
LINEミニアプリの審査依頼前の確認事項が公式サイトに記載されています。以下でチェックが可能です。
※参考:友だち追加オプションの設定手順(LINE Developers)
LINEミニアプリの開発・導入方法、費用とは
LINEミニアプリを導入するには、すでに開発済みの機能がまとまっているパッケージを利用する方法と、自社に必要な機能を個別で開発する方法があります。それぞれの導入方法や料金について解説します。
①パッケージを導入する場合
パッケージの場合は自社で開発や審査申請をする必要がないため、エンジニアがいない企業でも、簡単かつ迅速にLINEミニアプリを導入できる点がメリットです。
デザインやテキストの内容を、自社向けに少し変更するだけで、すぐに使用できます。金額も10万円程度と手頃なケースが多く、時間も費用も抑えて、最低限の機能がほしい企業に適しています。
②個別開発する場合
パッケージにはないオリジナルの機能がほしい場合、自社のブランディングとしてミニアプリに独自性を出したい場合は個別開発になります。自社で開発するか、開発会社に依頼するか、どんな機能を開発するかによって、開発にかかる時間や費用も大きく変わります。
個別開発の費用は、シンプルな機能であれば約100〜200万円程度が相場とされていますが、機能が複雑化すると300万円ほどになるケースも。
開発会社に依頼する場合は「ほしい機能が実現可能か、予算の範囲での調整はできるのか」など、しっかりヒアリングをおこなってくれる会社を選びましょう。
日本国内の利用率81.6%を誇るLINEを母体とするLINEミニアプリは、今後もさらに利用者が増え、日常に欠かせないサービスに成長していくでしょう。
導入する企業もどんどん増えている今、他社と差別化できる独自性を持ったLINEミニアプリが、そのまま企業のブランド力に直結する可能性も考えられます。
既に自社でLINEアカウントを運用されている場合は、店舗集客を強化する施策の一つとして、LINEミニアプリの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
「ミニマリストの片付け」を運用するトレファクテクノロジーズは、システム/アプリ開発とマーケティングの両面から、LINE運用を一貫して支援しております。集客にお困りの方はお気軽にご相談ください。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
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この記事を書いた人
東京生まれ東京育ちのフリーライター。IT、HR領域を中心に活動中。エンジニアの夫とふたり暮らしのDINKs。好きなものは日本酒と猫、趣味は物件検索と芸人さんのラジオを聴くこと。