パソコン仕事の効率化といえば色々な方法が考えられます。
例えば、キーボードのショートカットキーであったり、インターネットのお気に入りページの登録、よく使うアプリをタスクバーに登録しておく、なんていうものも仕事の効率化に寄与するものの一つです。
これらを活用して、効率的に仕事に取り組まれている方も多いでしょう。
しかし、パソコンの中にあるファイルを瞬時に開いたり、特定のアプリをすぐに実行したりできる便利なショートカットも存在します。
それが今回紹介する「ファイル名を指定して実行」で、今よりもパソコン仕事の効率化を進められるので、ぜひ試してみてください。
「ファイル名を指定して実行」って?
Windowsの「ファイル名を指定して実行」機能は、一般的にはあまり使われていない印象がありますが、初心者にとっても非常に役立つ機能の一つです。
この機能は、特定のプログラムやツールを手動で起動する代わりに、ファイル名(コマンド)を指定して簡単に実行することができる方法を提供しています。
この機能を使うと、コンピュータ上で必要なタスクを素早く実行できるようになります。たとえば、毎回スタートメニューを開いてプログラムを検索してクリックしていたような操作を、2つのステップで起動する事ができ、アプリケーションを起動する手間を省くことができます。
それでは、Windowsの「ファイル名を指定して実行」機能を使ったことがない方に向けて本機能の利用方法とその利点について詳しく説明します。
「ファイル名を指定して実行」を使ってみよう!
「ファイル名を指定して実行」機能を利用する方法は、以下の手順で行います。
まず初めに覚えておきたいのが「Windows」キー + 「R」のキーの組み合わせです。
「Windows」キーはショートカットキーの組み合わせでよく利用されますが、ファイル名を指定して実行を起動する「R」は「Run(ファイル名を指定して実行の英語表記)」の頭文字からきていると考えれば覚えやすいと思います。
【STEP ①】 キーボード上の「Windows」キーと「R」キーを同時に押す
パソコンの画面に「ファイル名を指定して実行」というダイアログボックスが表示されます。
これは、プログラムのショートカットを実行するための場所です。
【STEP ②】 「名前(ダイアログボックス)」に実行したいプログラムやファイルの名前を入力する → コマンドを入力する
例えば、メモ帳を開きたい場合は、「notepad」と入力します。
実行したいコマンドの名前が正しく入力されていることを確認します(間違って入力していた場合は失敗します)。
【STEP ③】 入力したコマンドを確認し、キーボードの「Enter」キーを押すか「OK」ボタンをクリックする
すると、即座に指定したコマンドが実行されます。
「ファイル名を指定して実行」での起動方法はこれだけです。キーボードの操作だけで完結します。
「ファイル名を指定して実行」:アプリケーションごとのコマンドを調べるには?
上記でご紹介した「メモ帳」以外のアプリケーションを起動するコマンドを確認したい場合は、システムの「環境変数」という画面から確認します。
[アプリケーションごとのコマンドの調べ方]
- ファイル名を指定して実行にて「sysdm.cpl」を実行
- システムのプロパティが表示されるので「詳細設定」タブをクリック
- 右下の方にある「環境変数」をクリック
- 「環境変数」画面にて、「ユーザーの環境変数」および「システム環境変数」の「変数」に表示されている文字列が、ファイル名を指定して実行で利用ができるコマンドになる
※注意事項:3rdパーティ製によるアプリケーションをインストールしている場合は、既定で環境変数に登録されないものがあります。その場合は別途ショートカットを作成し、事前に環境変数へ登録する必要があります。
ちなみに、ファイル名を指定して実行のショートカットを利用しないで起動する場合をイメージしてみましょう。
[ファイル名を指定して実行を使わない場合のアプリケーションの起動]
- 「Windows」ボタンをクリック
- スタートメニューから「Windows アクセサリ」をクリックして展開
- その中からスクロールして「メモ帳」を探してクリック
というような操作になるので、多くの人はキーボードから手を離してマウスを使う操作が主になるかと思います。
メモ帳が「Windows アクセサリ」フォルダにあるということを覚えていたとしてもアクセサリ一覧の中から探すのが少し大変だと思います。
ショートカット一回の時短効果は微々たる物かもしれませんが、一日のパソコン仕事の中で何度かアプリケーションを起動する操作をすべてこのショートカットで行うことができるようになればそれなりの効率を生み出すことができると思います。
また、それが1週間、1ヶ月と積み重なっていくことを考えれば長い期間で考えると作業効率は格段に変わってくることでしょう。
参考までにSEの私がよく使うコマンドをご紹介します。
- 「powershell」or「cmd」:
PowerShellもしくはコマンドプロンプトの起動 - 「logoff」「shutdown /r」:
PCのログオフや再起動(/r は restart の“r”です。) - 「excel」「notepad」:
Excelの起動やメモ帳の起動
私はマウス操作を極力しないことを心掛けており、一通りの操作をキーボードだけで完結できるようにいろいろなショートカットキーを覚えています。
「ファイル名を指定して実行」機能はそれらの操作の入り口でしかないですが、これが使えないと作業効率が一気に落ちると思っています。
「ファイル名を指定して実行」 覚えておきたい基本のコマンド
ここまでが「ファイル名を指定して実行」の操作方法となります。
ここで覚えた操作を活用してメモ帳以外の他のアプリケーションの起動についてもご紹介します。
ここでご紹介するコマンドはどのWindowsのパソコンでも共通のものなので他のパソコンで作業をするときや他の人のパソコンを借りて操作をするときにも活用することができます。
皆さんにおすすめのコマンド:スタートアップ(shell:startup)
パソコンのスタートアップの見直しは、時短につながるのでおすすめです。
「shell:startup」を実行してスタートアップフォルダを開きます。
スタートアップフォルダが表示されますので、アプリやプログラムのショートカットをこのフォルダへ配置しておくとショートカットファイルを配置したプログラムがパソコン起動時に自動的に起動されるようになります。
このように「メモ帳」のショートカットをおいておくと、パソコン起動時にメモ帳が自動で起動されるようになります。
ちなみにWindowsのスタートアップはもう一つ存在していてWindowsシステムで登録されている方はタスクマネージャー(taskmgr.exe)から設定が可能です。
「タスクマネージャー」の「スタートアップ」タブから変更が可能です。
こちらはパソコンの動作で必要なものやプログラムのインストール時に自動で追加されるものが含まれるので明らかに不要だというものを無効状態とすることでパソコン起動の時短や通常使用時の負荷(メモリ使用量)を抑え、パフォーマンスの向上が期待できます。
その他、よく利用されるコマンドの一例をご紹介します。
覚えておきたい基本のコマンド①:ファイル操作系
ショートカット | 文字列 | 説明 |
Cドライブ | \ | PCのCドライブ画面を表示 |
ユーザーフォルダ(カレント) | . | Myドキュメントなどのフォルダを表示 |
ユーザーフォルダ | .. | 全ユーザーのユーザーフォルダ一覧を表示 |
共有フォルダ | \ | ファイルサーバーやネットワーク上に存在する他のPC上のフォルダ・ファイルを表示 |
覚えておきたい基本のコマンド②:パソコンの起動停止系
ショートカット | 文字列 | 説明 |
ログオフ(サインアウト) | logoff | パソコンからログアウトをする |
シャットダウン | shutdown /p | パソコンを即時シャットダウンする |
再起動 | shutdown /r | パソコンを再起動する |
休止状態 | shutdown /h | パソコンを休止状態にする |
スタートアップ | shell:startup | スタートアッププログラムの一覧(アプリのショートカットを配置することでパソコン起動時に自動起動される) |
覚えておきたい基本のコマンド③:Microsoft Office ソフトの起動(Officeソフトがインストールされている環境)
ショートカット | 文字列 | 説明 |
Word | winword | Microsoft Wordを起動する |
Excel | excel | Microsoft Excelを起動する |
PowerPoint | powerpnt | Microsoft PowerPointを起動する |
Outlook | outlook | Microsoft Outlookを起動する |
Access | msaccess | Microsoft Accessを起動する |
OneNote | onenote | Microsoft OneNoteを起動する |
覚えておきたい基本のコマンド④:アプリケーション起動系
ショートカット | 文字列 | 説明 |
OSのバージョン確認 | winver | WindowsOSのバージョン情報を表示 |
システム情報 | msinfo32 | パソコンのシステム情報を表示 |
インターネットオプション | inetcpl.cpl | インターネットオプション画面を表示 |
電卓 | calc | 電卓を起動 |
メモ帳 | notepad | メモ帳(テキストエディタ)を起動 |
ペイント | mspaint | ペイントを起動 |
コントロールパネル | control | コントロールパネルを起動(各種設定画面) |
システム | sysdm.cpl | システム画面を表示(コンピュータ名やリモート接続の許可設定など) |
ネットワーク | ncpa.cpl | IPアドレスの設定画面を表示 |
プログラムと機能 | appwiz.cpl | インストール済みアプリ一覧を表示 |
スクリーンキーボード | osk | スクリーンキーボードの表示 |
ゲームコントローラー | joy.cpl | ゲームコントローラー設定を表示 |
以上がよく利用されるショートカット一覧になります。
パソコンをまず使い始める際にキーボードのキー配置を覚えて手元を見ずにキーを入力する「タッチタイピング」の方法がありますが、キーを見ずにタイピングするのと手元を見ながら文字入力するのとでは結果的に作業にかかる時間は天と地の差があります。
この「ファイル名を指定して実行」によるショートカットもそれと並ぶほどの効果を得られる時短テクニックなので自分がよく使うものだけでも是非覚えておきましょう。
「ファイル名を指定して実行」を使う際の注意点
この便利な「ファイル名を指定して実行」機能ですが、以下の注意点があります。
- 会社貸与のパソコンだとセキュリティポリシーにより制限がされている場合がある
- ログインアカウントのアクセス権限により起動ができないアプリがある
会社より貸与されている仕事用パソコンの場合、会社のセキュリティポリシーがかかっており、特定のアプリケーションの起動を制御されている場合があります。スタートメニューやコントロールパネルからの起動ができないアプリやプログラムについては、ファイル名を指定して実行の機能でも起動することができません。
また、パソコンにログオン(サインイン)しているアカウントが一般ユーザー権限のアカウントの場合、これも同様に通常起動が制限されているアプリやプログラムについては、ファイル名を指定して実行の機能でも起動することができませんのでご注意ください。
他のコマンドも使ってみよう!
今回ご紹介したコマンドの他にも非常に多くのコマンドが存在します。シャットダウンや再起動といったコンピュータ操作に関するものや、エクスプローラーに関するものなどもあるので、どんどん使用して効率的に仕事を進めてみてください。
また、慣れてくれば、自身で必要な機能をコマンドに登録して、いつでも呼び出せるようにすることもできます。まずはここで紹介したファイル名を指定して実行してみて、どんどん試してみるのが良いでしょう。
新しいコマンドを覚えていき、どんどん仕事が効率的にできるようになっていければ、スタイリッシュに働けること間違いなしなので、一つずつ実践してみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いた人
都内SIer勤務の会社員。月間6万PVの技術ブログ「TechLog(テックログ)」を発信。 エンジニアの経験から得たお役立ち情報や How To をテックノートとして公開しています。